日本で働く外国人労働者が増加する中で、外国人労働者を雇用することにより、企業が抱えるリスクも増加しています。
経営者や企業担当者が労働関連諸法令について、外国人労働者にも日本人と同じように適用されることを理解していないため、社会保険未加入や最低賃金法の違反など、法令に反するケースが多く見受けられます。
外国人雇用に関する法律に違反した場合、労働局や入国管理局から罰則が科される可能性がありますので注意が必要です。
外国人労働者を雇う際に最も慎重にならなければならないのは、在留資格を持たずに働かせてしまった外国人労働者によって企業が不法就労の罪に問われる可能性があることです。
不法就労者を雇用した場合、雇用主は不法就労助長罪として、最長で3年の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。不法就労助長罪は、事業主が不法就労の事実を知らなかった場合でも厳しく取り締まられます。
採用時に在留カードの確認を怠ったり、在留期限が過ぎていたり、さらには在留資格自体がなかったりすることによって、労働資格のない人を働かせてしまい、不法就労の罪に問われるケースが多いようです。
日本語での意思疎通が難しかったり、文化の違いにより誤解が生じることもあるため、緊急時に意思の疎通が円滑にできず、労働災害を招く恐れがあります。
外国人労働者の中には、文化の違いから訴訟に踏み切るためらいが少なく、労働基準法違反で訴訟が提起される可能性も高まります。
訴訟が発生した場合、弁護士との打ち合わせや資料作成など、訴訟に対応するために多くの時間と労力が必要となります。その結果、限られた経営資源が本業に充てられず、訴訟対応に伴うコストが発生してしまいます。,
外国人労働者を採用する企業は、法令遵守やコミュニケーションの徹底、適切な人材採用や教育、リスクマネジメントの実施、外国人労働者が働きやすい環境の整備、外国人雇用に関する専門家の利用など、多岐にわたる対策を実施することが必要となります。