労働者の労務提供不能による解雇が争われた事案(平10・09・22東京地判)

事案の概要

1.Y社に勤務する慢性腎不全による身体障害等級一級の嘱託社員Xが、平成五年の生体腎移植手術後も、体調が悪く入退院を繰り返し、平成八年四月六日に退院後もほとんど出社せず、同年五月以降の出社日数は、毎月数日で、八月からは全く出社しない状況になった。Yは、Xに対し、同年一〇月二〇日までは、賃金を支給したが、被告は、同年一〇月二〇日に、今後勤務しない分については賃金を支給しない通常の扱いとすることとした。

2.しかし、Xは、その後もほとんど出社しなかったため、Yは、同年一二月一九日付けで、このままの欠勤状況が続くと平成九年四月一日以降の嘱託雇用契約の継続は困難となる旨の書簡を郵送し、その後、就業規則に定める解雇規定の「心身虚弱のため業務に耐えられない場合」に該当するとして平成九年三月三一日付けで予告解雇をしたことにつき、不当解雇であるとして、Xの定年年齢までの期間の生活保障などを求めた事例。(労働者敗訴)

 

判決の骨子

以上認定の事実からすれば、Xは、Yの就業規則取扱規程に定める心身虚弱のため業務に耐えられない場合に該当すると認められ、本件解雇には、相当な解雇理由が存在し、かつその手段も不相当なものでなく、解雇権の濫用には当たらないといえる。

引用/厚生労働省サイト

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