求人票と実際の労働条件が異なり提訴された実例(平29・3・30 京都地裁)

事案の概要

1.労働者Xは、ハローワークの求人票を見て、児童デイサービス等の業務を行うA苑に採用されたが、その求人票には、「期間の定めなし」、「定年なし」と記載されていた。ところが、その後、労働条件通知書には「契約期間を1年」、「定年を65歳」とされており、その労働者は、その労働条件通知書を見せられ署名押印を求められたが、既に前職を退職しており、これを拒否すると仕事がなくなり収入がたたれるとして、裏面に署名押印した。

2.ところが、使用者は、その契約期間1年で期間が満了したとしてXを退職扱いしたので、Xが、従業員である地位の確認と退職後の賃金を求めて提訴した。

 

判決の骨子

その1

求人票は、求人者が労働条件を明示した上で求職者の雇用契約締結の申込みを誘引するもので、求職者は、当然に求職票記載の労働条件が雇用契約の内容となることを前提に雇用契約の締結をするのであるから、求人票記載の労働条件は、当事者間においてこれと異なる別段の合意をするなどの特段の事情の無い限り、雇用契約の内容となると解するのが相当である。

その2

なお、労働条件通知書を示して説明し署名押印したことにつき、使用者が行った労働条件の変更の効力については、その変更についての同意の有無は、当該行為を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでだけでなく、当該変更により当該行為がされるに至った経緯及びその態様、当該行為に先立つ労働者のへの情報提供又は説明の内容に照らして、当該行為が労働者の自由意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも、判断されるべきものと解するのが相当である。

その3

本件労働条件通知書に、Xが署名押印した行為は、その自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとは認められないから、それによる労働条件の変更についてのXの同意があったとは認めることはできない。

引用参考/厚生労働省サイト

関連記事