試用期間の基礎知識

試用期間とは

試用期間とは、採用した労働者について会社が一定期間を定めて能力・適性や人柄などを確認する期間のことです。長期的な人材の雇用を考慮して、労働者の能力や適性、人柄の確認を行うために設けられます。試用期間の一般的な期間の設定については法律で明確に決められておらず会社によって異なりますが、3ヶ月〜6ヶ月の期間を設けることが多いようです。ただし、試用期間の延長が可能なように規定している会社もあります。

試用期間を設けることについては、法律で明確に定められていませんが、会社が試用期間を設ける場合には、就業規則や雇用契約書に試用期間がある旨を明記しておく義務があります。

 

研修期間との違い

研修期間は、新しい仕事に就く前に必要な技術や知識を学ぶために設けられる期間で、社員教育の一環として行われます。具体的には、業務に必要なスキルや知識、企業文化やルールなどを学ぶための期間です。研修期間では、講義やハンズオンなどの形で教育を受け、その後に実際の業務に移ることが多いです。

一方、試用期間は、採用された新しい社員に対して、一定期間を定めて能力や適性、人間性などを評価するための期間です。試用期間では、社員が実際の業務を担当し、その能力や適性などを確認することが主な目的です。試用期間が終わった後、その社員が正式に採用されるかどうかが決定されます。

つまり、研修期間は新しい社員が業務に必要なスキルや知識を学ぶための期間であり、試用期間は新しい社員の能力や適性などを確認するための期間であると言えます。

 

試用期間を設定するメリット、デメリット

メリットとしては、採用試験の時にはわからなかった労働者の適性を判断することができます。筆記試験や面接試験だけでは、人柄までを確認することができないからです。また、試用期間中に労働者の実務能力やスキルのレベルを確認できるというメリットもあります。試用期間中の仕事ぶりが、今後長く勤めてもらうための適材適所を判断する一つの材料になります。

一方、試用期間を設定するデメリットとしては、試用期間が長すぎる場合には求職者に敬遠されることがあります。試用期間が長いと、試用期間中に解雇される可能性が高いという不安が長く続くためです。また、労働者には試用期間中は解雇されるという不安があるため、委縮して本来の実力が発揮できない場合もあります。会社には、労働者が本来の実力を発揮しているかどうかを見極める必要があります。

 

試用期間中の解雇

試用期間中には、簡単に解雇することができるわけではありません。

企業側は、従業員の採用選考を行い、雇用契約を締結した以上、慎重な対応が必要です。試用期間中でも、本採用後と同様の原則が適用されます。つまり、「企業の風土と合わない」など、客観的な合理性のない漠然とした理由、または一日の欠勤を勤怠不良とみなすような行為、高い業績目標を達成できなかった場合など、社会通念上相当でない理由による解雇は、企業側の権利濫用とみなされ、不当解雇となります。

ただし、試用期間開始後14日間は解雇予告なしに即時解雇できます。

試用期間が始まってから14日を経過してから解雇する場合は、30日前までに解雇予告を行う必要があります。解雇予告を怠った場合、解雇予告手当に相当する金額を支払わなければなりません。