外国人労働者の雇用ルール

厚生労働省の令和4年10月の「外国人雇用状況」の届出状況によると、日本で働く外国人労働者は年々増加し過去最高を更新しました。

 

引用/厚生労働省の令和4年10月の「外国人雇用状況」の届出状況

 

在留資格別では、多い順から永住者や日本人の配偶者らを含む「身分に基づく在留資格」、芸術や宗教・報道・研究・高度専門職を含む「専門的・技術的分野の在留資格」、「技能実習」、留学を含む「資格外活動」と続いています。

また、主な産業の外国人労働者数対前年増加率の推移によると、どの業種においても外国人労働者が増加しており、年々外国人労働者の雇用の範囲が広がっていることが読み取れます。

外国人労働者の雇用は、文化や言葉の壁を理由に見送る企業はまだまだ多くありますが、必要な人材を獲得するためには、もはや外国人雇用は不可欠な状況となっています。

 

 

引用/厚生労働省の令和4年10月の「外国人雇用状況」の届出状況

 

外国人労働者増加の背景

日本政府による外国人留学生の就職支援

日本に留学生として入国する外国人留学生の数が増加しています。そのうち、日本での就職を果たす留学生の数も増加しました。

日本政府は、外国人留学生が日本で就職することを促進するため、外国人雇用のためのマッチングシステムの構築や留学生合同面接会、外国人留学生へのインターンシップの実施などの支援策を実施しています。

 

少子高齢化による労働力人口の減少

現在の日本は、少子高齢化が進み、子どもの数や働ける成人の数よりも、高齢者の数が多くなり、それによって様々な業種で深刻な人材不足が生じています。

このような日本国内での人材不足問題を解決する手段として、積極的に外国人労働者を活用する取り組みが行われています。人材不足を即座に解消することは難しいですが、外国人労働者の活用は迅速な効果が期待できます。

 

グローバル化への対応

日本は少子高齢化社会であり、内需だけでなく外需の拡大も必要とされています。このため、日本の企業や日本人によるグローバル化の取り組みが進展し、外国人労働者の増加にも寄与していると言われています。

日本人自身が、国内だけでなく海外での就職を選択したり、日本企業が海外進出を行ったりすることで、グローバル化が促進されています。その結果、日本で働く外国人労働者の数も増加しています。

 

外国人労働者雇用のポイント

就労可能かどうか在留資格を確認

外国人労働者を雇用する際には、就労可能な在留資格を持っているかどうかの確認が必要です。

外国人が日本に滞在するためには在留資格が必要です。在留資格には、就労が許可されている資格と許可されていない資格の2つがあり、短期滞在や留学、研修などの在留資格では、原則として就労は許可されていません。

就労が許可されている在留資格であっても、分野ごとに異なる場合がありますので、雇用する職業に必要な在留資格が適切かどうかを確認する必要があります。

外国人の雇用が初めてで知識がなかったり、意図的な悪意はない場合でも、不法就労の状態になってしまうことは許されず、懲役3年以下または300万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

 

 

労働条件についての明確な説明

外国人労働者に対しては、明確に労働条件を説明し、雇用契約を書面で結ぶ必要があります。

日本で一般的な労働条件でも、外国人労働者にとっては異なる場合があります。双方が誤解を生じないようにするためにも、労働条件についてしっかりと説明し、契約を書面で取り交わすことが重要です。

 

文化や習慣の違いでトラブルにならないための事前準備

外国人労働者は、日本人とは異なる文化や習慣を持っていることを認識し、お互いの文化や習慣を尊重することが重要です。

日本では当たり前のことでも、他の国では問題になる場合があります。逆に、外国人にとっては普通のことでも、日本人にとっては非常識な行動となることもあります。文化や習慣の違いが生じる可能性を覚悟し、予め備えておくことが必要です。

 

労働社会関係諸法令の遵守

外国人労働者を雇う際には、日本人労働者との差別をせずに雇用しなければなりません。

労働基準法など労働社会関係諸法令を遵守し、日本人労働者と同様な扱いをしなければなりません。

労働基準法では労働条件に関して外国人労働者に差別的な扱いを禁じています。賃金、労働時間、休日などの労働条件は、日本人労働者と同等に適用されます。

 

すなわち、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などの社会保険は原則として日本人労働者と同様の扱いをしなければなりません。同じ業務内容であれば、同じ賃金である必要があります。