会社が一方的に労働条件を変更することはできません。労働契約法によれば、「使用者と労働者の合意によって労働契約の内容である労働条件を変更できる」とされています(労働契約法8条)。
労働者にとって有益な変更であれば、例えば賃金を増やすことや、賃金を据え置いて労働時間を短縮することなど、問題は起きにくいでしょう。
労働条件の変更において問題となるのは、賃金の削減など労働者に不利益を与える変更です。このような変更を行うには、従業員の同意を得る必要があります。
同意に替えて、就業規則の変更により労働条件の不利益変更を行う場合は、変更後の内容に
合理性が認められなければなりません。(詳しくはこちら)
労働条件の不利益変更には次のような事例が挙げられます。
年間休日の削減とは、従業員が通常享受していた休日の数や頻度が減少することを指します。例えば、週休2日制から週休1日制への変更や、祝日や特別休暇日数の削減などが考えられます。休暇が減少することによって、労働時間や労働負荷が増加する可能性があります。
評価や役職に変更がない場合でも、手当の減額が行われることがあります。手当は従業員の基本給以外の支給要素であり、通勤手当や住宅手当、家族手当などが該当します。手当の減額により、従業員の収入が減少します。
年功制度は、従業員の勤続年数や経験に基づいて昇給や賃金の増加が行われる制度です。年功の廃止により、従業員の賃金が昇給の要素が減るため減額される可能性があります。これにより、長期勤続者や経験豊富な従業員が収入減を被る可能性があります。
手当や福利厚生の一部が廃止または減額される場合、従業員が通常享受していた特典や補償が削減される可能性があります。例えば、交通費支給の減額、従業員割引制度の廃止などが考えられます。
企業が雇用形態の変更を一方的に行う場合、従業員の労働条件や雇用契約が変更される可能性があります。例えば、正社員から非正規雇用への変更、所定労働時間の減少、契約期間の短縮などが考えられます。
企業の合併や事業再編に伴い、労働条件の低下が生じる可能性があります。これにより、統合された企業での従業員の待遇や福利厚生が変更される可能性があります。例えば、基本給や手当の減額、勤務時間の増加などが考えられます。