職場でモラハラが起きた時の対処法

職場でモラハラが起きると企業に様々な影響が及び、企業の存続が危ぶまれる可能性も考えられます。 モラハラについての理解や企業としての対策を想定しておくことで、モラルハラスメントの防止・改善に努めるための参考にしてください。 職場でのモラルハラスメントをなくし、健全な労務環境を構築しましょう。

 

モラハラとは

モラルハラスメントとは、言葉や態度によって相手を継続的に精神的に追い詰め、人格や尊厳を傷つける行為のことです。身体的暴力のように目に見える被害ではなく、無視・嘲笑・皮肉・陰口などの形を取ることが多いため、周囲からは気づかれにくく、長期化しやすいという特徴があります。

また、パワハラと異なり、上司から部下だけでなく、同僚間や部下から上司への加害行為も含まれます。つまり、職場のどの立場の人でも加害者にも被害者にもなりうるのです。

モラハラの具体例

職場でのモラハラには、以下のような行為が該当することがあります:

・話しかけても無視される
・必要な情報を意図的に教えない
・実績や成果を過小評価される
・不当に責任を押し付けられる
・会議やイベントから排除される
・陰で悪口や噂を流される
・不快なあだ名で呼ばれる
・人前で恥をかかせる発言をされる

これらの行為が繰り返されることで、被害者は「自分が悪いのではないか」と自責の念を持ち、次第に正常な判断ができなくなることもあります。うつ病や不安障害などの精神疾患に発展するケースも少なくありません。

 

モラハラ加害者に見られる傾向

モラハラ加害者には、以下のような傾向が見られることがあります。

1,承認欲求が強い
他人を否定し、自分の優位性を誇示することで安心感を得ようとする傾向があります。

 

2,感情のコントロールが苦手
些細なことでも苛立ちを感じ、それを周囲にぶつけるタイプです。

 

3,他人への共感が乏しい
相手の気持ちを想像したり配慮したりすることが苦手で、無意識のうちに相手を追い詰める言動を取ることがあります。

中には、家庭や私生活でのストレスを職場に持ち込み、そのはけ口としてモラハラ行為に及ぶケースもあります。

 

被害を受けやすい人の特徴

一方で、被害者になりやすい人にも一定の傾向が見られます。

・自己主張が苦手で「NO」が言えない
・責任感が強く、頼まれたことを断らない
・周囲の空気を読みすぎてしまう
・評価や人間関係に過剰に敏感

このような人は、加害者にとって「反撃されにくい」と見なされ、ターゲットにされやすくなります。さらに、周囲からも「我慢してくれる人」と見なされやすく、孤立してしまうリスクがあります。

 

企業がとるべき対応

モラハラは、個人間のトラブルにとどまりません。企業にとっても大きなリスクであり、組織全体の信頼性を損なう可能性があります。以下に、企業として取るべき対応を段階的にまとめます。

1,相談窓口の設置
まず重要なのは、相談できる仕組みを整えることです。人事部や社内のコンプライアンス窓口だけでなく、第三者による外部相談窓口を設けることで、被害者が安心して声を上げられる体制が整います。

 

2,適切な事実調査
苦情があった場合は、事実関係の調査が不可欠です。当事者双方や周囲の関係者へのヒアリングを行い、公平・中立な視点で調査を進めます。証拠(メールや録音など)がある場合はそれも参考にします。

 

3,被害者への配慮と保護
調査中・調査後ともに、被害者が安心して働けるよう配慮が必要です。業務の一時的な軽減や部署異動、在宅勤務など、柔軟な対応が求められます。また、必要に応じて産業医や専門機関によるメンタルケアの手配も重要です。

 

4,加害者への適切な措置
モラハラが認定された場合、就業規則に基づき懲戒処分や配置転換などの措置を取ります。曖昧な対応は再発を招くだけでなく、職場全体に悪影響を与える恐れがあります。

 

モラハラを防ぐ職場づくり

防止のためには、モラハラに対する職場全体の意識改革が必要です。

ハラスメント防止研修の実施
管理職への対応マニュアルの整備
社内ポリシーの明文化と周知徹底
定期的なストレスチェックと職場環境調査

日常的にコミュニケーションが取れる風通しの良い職場づくりが、モラハラの抑止力になります。「言いにくい」「相談しにくい」空気を変えることが、最も効果的な予防策です。

モラハラの対処においては、企業側が迅速かつ適切な対応を行うことが重要です。

従業員の健康と労働環境の改善に全力で取り組む姿勢が求められます。

 

モラハラが起きてしまったときは専門家に相談することをお勧めします。

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